善福寺の家 –Zenpukuji–

Tokyo 05.2010

東京都杉並区
構造木造　地上2階
建築面積48.66　㎡
延床面積93.67　㎡

施工　平野建設 (株)
Photo: Hiroshi Ueda
A Collection 006 掲載

東京杉並の善福寺川に面したこの敷地は、住環境に恵まれながらも、建築条件がきびしい場所にあります。約３６坪の土地に対し、建ペイ率４０％容積率８０％の規制と、北側からのきびしい高さ制限のなかで、川沿いに地下階をつくるリスクをとらずに、いかに豊かな空間を確保していくかがこの家の主題でした。
廊下や間仕切りを設けず、効率よく各フロアをつないでいけるスキップフロアの空間構成としています。
解きほぐせば立体的なワンルームとなります。

第1種高度斜線を避けるために確保した北側隣地からのはなれには、目隠しのあるコートを設け、浴室では露天気分を味わう事ができます。
また、高さの制限がある中でも、キッチン下部を天井高さの抑えられた収納スペースとしたことで、キッチン上部に約５帖のロフトスペースを確保する事ができました。このロフトはダイニング上部の吹抜とつながり、光と風の通り道となり、視覚的な開放感も生み出します。

これらのロフト、デッキ、土間スペース、コートといった、建築面積や延床面積に算入されないスペースが増幅装置となり、小さな器を大きく感じさせる役割を果たし、豊かな家族の時間がこの家で育まれることを願っています。