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羽衣の家 -Hagoromo-
Tokyo 02,2003
東京都世田谷区
構造
木造 地上2階
建築面積
47.66 ㎡
延床面積
100.65 ㎡
施工 進栄興業(株)
Photo: Naoomi Kurozumi・Hiroshi Ueda
住宅建築 2004-08 掲載
New House 2003-08 掲載
TITLE 2004-04 掲載
不即不離と狭小住宅
狭小地の場合、敷地なりに建てられるボリュームに限りはある。そこに豊かな内部空間を生み出すには、スキップフロアは有効な手法の1つだろう。 床面を半層ずらすことで透き間が生まれ、空間の密度が増し、視線が2方向に抜ける。踊り場が各スペースとなることで、廊下や階段室が存在しなくなる。それがあちこちに隠れ家的な場と、互いを垣間見る場を相互に生むことにつながる。
さらに今回の敷地の特徴は、南の線路側に対して約18mの長さで接していることにある。線路際という条件は、南側に空地が不変に存在することでもある。建物の両袖をいっぱいに広げ、外部空間を線路側に向けながらも視線と音を遮断しつつ、光と風を取り込めたことも豊かな内部空間を生み出す要素となっている。
家族それぞれの場をどうつくるか。不即不離の程良い距離感は、どのようにしたら生まれるのか。元来日本人は、生活の場に、囲った部分とオープンな部分をうまく取り合わせることを得意としてきた。明確にではなく曖昧に、個と共同体(=家族)との境界を自らつくり出せるような、家とはそんな装置であるべきだと我々は考えている。
皆、独りになりたいと思いながらも人恋しい。つかず離れずどこかで誰かの気配を感じていたい。家族は、それが可能な最小単位であり、家庭はその最小空間であろう。現代日本の都市部に生まれた狭小住宅こそ、実は不即不離の程良い距離感を保つのに最も適しているのかもしれない。
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