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居心地のよい家づくり

2017.8.21

住宅を建てる際に大切なことは、機能性や耐久性など基本的なことは当然として、「居心地のよさ」も高めていきたいものです。当然、居心地のよさには個人差もございますが、厳しい住環境や、法規制により限られたボリュームのなかでも、いかに快適な空間をつくっていくことができるかが、私どもの設計活動の主題と考えております。その際にポイントとなってくる要素を実例とともに幾つかご紹介させて頂きます。

「取り込む」
内部空間だけで完結するのではなく、内と外を一体のものとして感じられる工夫をすると、空間にも奥行が広がり、ゆとりを与えてくれます。一日その家にいてボーっとしていても、時刻によっては白い壁が夕陽をあびて赤く染まったり時間の流れや光の移り変わりが家の中にいてもわかるような、変化を常に感じることができる、「自然を感じる家」となります。

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「透ける」
内外を問わず、双方向からの視覚、つまり見え方を考える際に、時には、はっきりとした境界をつくらずに、「透ける」よう境を曖昧にすることも有効な方法です。仕切りを引戸やガラスなど、住まい手が自由に操作できるもので構成することで、柔軟性が高まります。

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「つなぐ」
つなぐとは、壁や床の一部を取り去る事により、空間を拡大させ、視覚的にもつなげていく方法です。水平方向だけでなく、垂直方向にも奥行きを感じることができるほか、機能的にも多用途に対応できる空間が生まれます。

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「大きな開口」
開口の取り方は、そのバランスで空間の良し悪しが決まってしまう、重要な要素です。空間の用途、方位、周囲の環境に合わせて、適切な位置に最適な大きさの開口を美しく設けるよう心がけています。時には、景色を堪能できるよう「大きい開口」を設けて自然を身近に感じさせたり、光や風の通り道となるよう慎重に計画しています。

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「高さより変化を」
気持ちのよい空間を感じる要素としては、天井高が大きいかが問題なのではなく、床の広さと天井の高さのバランスやメリハリが大切であると考えています。空間を移動しながら感じる高低のメリハリが、リズムをつくり出します。低い所があってこそ、高い所の解放感もより強調されます。

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「回遊性」
動線を一つにせず幾通りか計画することで、生活のリズムにも変化が生まれます。家事動線はできる限り無駄なくまとめて、時には回遊できるようにすることで、機能性が高めることができます。また、内外にわたり回遊できるような動線は、使い方の可能性を広げてくれるほか、実際の広さ以上に感じさせる効果があります。

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「風と光で室内環境をコントロール」
気候の穏やかな日本では空調機を使わずに過ごせる時期が本来長い地域のはずです。上から差し込む光は気持ちがいいし、温度差によって下から上へ流れる風も気持ちがよいものです。立地や気候に応じた断熱を施しながら、光と風で室内環境のコントロールできるような、「ローテク」ながらも、人が本来持っている五感の働きを取り戻すことができる家づくりを心がけています。

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